健康カプセル ゲンキの時間:歯周病のお悩み相談会
歯周病とは?
歯を大切に守るために知っておきたいこと
歯周病は、30歳以上の成人の約80%がかかっていると言われる一般的な病気です。予防、診断、治療、そしてメンテナンスが重要です。本記事では、歯周病についての基本的な知識や対策を詳しく解説します。
歯周病の概要
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨が溶けてしまう病気です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないと、細菌が停滞し、歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり腫れたりします。痛みはほとんどありませんが、進行すると膿が出たり歯が動揺し、最終的には歯を抜く必要が出てきます。
歯周病のセルフチェック
歯周病は症状が出にくいため、自分で気づかないことが多いです。以下のセルフチェック項目を確認してみてください。
全体の症状
- 口臭が気になる
- 朝起きたときに口の中がネバネバする
- 歯みがき後に出血する
歯肉の症状
- 歯肉が赤く腫れている
- 歯肉が下がり、歯が長く見える
- 歯肉を押すと血や膿が出る
歯の症状
- 歯と歯の間に物が詰まりやすい
- 歯が浮いたような感覚がある
- 歯並びが変わった気がする
- 歯が揺れている
判定基準
- チェックが1~3個の場合:軽度の歯周病の可能性があります。早期の治療を受けましょう。
- チェックが4~5個以上の場合:中等度以上の歯周病が進行している可能性があります。早急に治療を受けましょう。
- チェックがない場合:無症状で歯周病が進行することもあるため、1年に1回は歯科検診を受けましょう。
歯周病の原因
お口の中には約400~700種類の細菌が住んでおり、通常は悪さをしませんが、ブラッシング不足や砂糖の過剰摂取によって細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面に付着します。これを歯垢(プラーク)と言い、粘着性が強く、うがいでは落ちません。この歯垢が歯肉に炎症を引き起こし、やがては歯を支える骨を溶かしていく病気が歯周病です。
歯周病を引き起こす主な要因
- 歯垢:歯垢1mgの中に約10億個の細菌が住みついており、むし歯や歯周病の原因となります。歯垢を除去しないと硬化して歯石となり、細菌がさらに増殖し、歯周病を進行させます。
- リスクファクター:糖尿病、喫煙、歯ぎしり、不適合な冠や義歯、不規則な食習慣、ストレス、全身疾患(骨粗鬆症、ホルモン異常)、薬の長期服用、部分的に歯がない、両親が若い時から入れ歯だった、口で呼吸する習慣、免疫抑制剤の服用など。
歯周病の進行過程
歯周病は徐々に進行していきます。以下の段階で変化を確認しましょう。
健康な歯肉
- 特徴:薄いピンク色、弾力があり引き締まっている、出血なし
歯肉炎
- 特徴:赤色、歯と歯の間の歯肉が膨らんでいる、ブラッシングで出血、腫れた歯肉に歯垢が溜まる
歯周炎
- 特徴:赤紫色、さらに腫れる、出血や膿が出る、歯間が広がり、食べ物が詰まりやすい、歯が長く見える、歯周ポケットが深くなり骨が溶ける
歯周病の治療と予防
予防
- 正しいブラッシング:毎日実行し、歯垢をためないことが基本です。
- 歯石除去:歯石を取り除き、根の表面を滑らかにして細菌を除去します。
- 傷んだ歯肉の治療:健康に近い歯肉にするための治療を行います。
- 定期的なメンテナンス:歯科衛生士による専門的なクリーニングを受けましょう。
治療方法
- スケーリングとルートプレーニング:歯石を取り除き、根面を滑らかにします。
- 抗菌療法:細菌の除去や抑制を目的とした薬物療法です。
- 外科的治療:進行した歯周病には、歯周外科手術が必要になる場合があります。
歯を失った時の治療方法
歯を失った場合、以下の3つの治療方法があります。それぞれの治療法の特徴を理解し、自分に合った治療を選びましょう。
インプラント
インプラントとは、失った歯の部分にチタン製の人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法です。
- 利点:天然の歯に近い構造で自然な見た目、周りの歯に負担をかけない、半永久的に使用可能。
- 留意点:手術が必要、骨組織が少ない場合は追加の治療が必要、治療費が高い場合がある。
ブリッジ
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削り、その間を連結したかぶせ物で補う方法です。
- 利点:固定式で安定感があり、違和感が少ない、保険適用が可能な場合がある。
- 留意点:健康な隣の歯を削る必要があり、寿命が縮まる可能性がある、発音やお口の衛生に影響が出ることがある。
入れ歯
入れ歯とは、人工の歯を樹脂で連結し、健康な歯または歯ぐきに固定する方法です。取り外し式です。
- 利点:3本以上の歯を失った場合にも対応可能、保険適用の入れ歯もある。
- 留意点:固定に違和感がある、見た目が損なわれる場合がある、定期的な外してのお手入れが必要、顎の骨が後退する場合がある。
まとめ
歯周病は、適切な予防、診断、治療、メンテナンスで予防可能であり、治療も可能です。歯を失った場合もインプラント、ブリッジ、入れ歯の3つの治療法があり、それぞれのメリット・デメリットを理解して自分に最適な治療法を選びましょう。歯科医師に相談しながら、最適な治療方法を決めることをおすすめします。